安全なお店の選び方(マリンレジャー) 家に帰るまでが旅行です
セブンシーズ チーフガイドのJUNです。
子どもの時に遠足などで、先生に「お家に帰るまでが遠足ですよ~」と言われたのを覚えていますが、筆者以外にも言われた記憶がある方もおられるのではないでしょうか?
「楽しい遠足も、学校から自宅に帰るまでに事故などにあうと一瞬で楽しい遠足ではなくなってしまいます。」という事が言いたいのだと思いますが、これは遠足に限ったことではなく、普通の旅行でも言えることではないでしょうか?
せっかくの楽しい旅行も、大きな事故にあってしまったら、一瞬で楽しい旅行ではなくなってしまいます。
コロナが5類に移行する少し前から、沖縄では過去最悪のペースでマリンレジャーの事故が発生しています。
これは、コロナで我慢していた方が一気に国内旅行に出て、コロナ前を軽く超えるペースで観光で来島する方が増えている事によって、単純に分母が増えたのに合わせて増えたことも言えますが、絶対数としてみれば増えてることに違いはありません。
この記事を読んでいる方が、そういった事故にあう可能性を低くするために、アドバイスができればと思ってこの記事を書いています。
目次
最近の事故の現状
まずは、最近の沖縄の事故の現状から知っておきましょう。
昨年までの過去10年の1月~6月の水難事故では、
件数で言うと最多が昨年の22年と一昨年の21年で40件、次いで17年の34件、19年の32件と続いています。
件数が多い22年、21年を人数で見ると、最多が21年の61人、次いで22年の55人となっています。
そして、今年(23年)はと言うと、44件88人となっています。
とてつもないハイペースで、1つの事故で人数が多いのが特徴的です。
公安委員会から安全管理などについて勧告を受けたマリンレジャー業者も昨年の1月~6月にはありませんでしたが、今年の1月~6月では7件6業者に増えています。(行政処分も1件でています)
これによって、ツアー以外の個人だけでなく、マリンレジャー事業者によるツアーでも事故などが増えていることがわかって、とても心配な状況になっています。
本当に、今年は事故が多いイメージです…
というより実際に多いです。(~6月の統計に入らない7月にも7日時点で既に…)
これらのデータを見る限り、残念ながら事故は起こらないものという状況ではないことは明白です。
考えられる間接的な事故の原因
では、先程書いた「コロナ前を軽く超えるペースで観光で来島する方が増えている」ことを含め、考えられる間接的な事故の原因を考えていきましょう。
1,やはり、コロナ前を軽く超えるペースで観光で来島する方が増えている事
これは、単純に「観光で来島する方が増えている」というだけでなく、飲食店同様にコロナ過でスタッフを減らしていたマリンレジャー事業者の受け入れ態勢が整っていない状況下で、観光で来島する方が増えたことが原因の一つと言えるかもしれません。
2.ガイドのスキル(質)の低下
マリンレジャー事業者の受け入れ態勢が整っていない状況下で、急しのぎでスタッフを増員するので、全体的にガイドのレベルにないガイドさんが増えてしまっています。
ひどいと、参加者と変わらないスキルのガイドさんがいるケースもあります。
例えれば、免許取りたての操縦者が、旅客機を飛ばしているようなものでしょうか…
3.OTAでの予約の増加
最近、旅行で宿泊やマリンレジャーのご予約がOTAからの割合が増えています。
OTAって何かはこの後説明していきます。
OTAとは
OTAとは、インターネット上だけで取引を行う旅行会社のことを言います。
Online Travel Agentの頭文字の略で、実店舗をもって営業する旅行会社のオンライン販売はOTAとは呼ばれません。
宿泊を例にメジャーなところで言うと、「じゃらん」や「楽天トラベル」などがOTAにあたります。
ちなみに、「じゃらん」も「楽天トラベル」もしっかり旅行会社の登録がある会社です。
ではOTAで予約するのは悪いのか?
24時間いつでも多くの宿泊やマリンレジャーを閲覧・検索できて、お店に行かなくてよいことを考えると、上手に使えばとても便利かもしれません。(セブンシーズは現在OTAにプログラム掲載しておりませんが…)
しかしながら、海外運営のサイトを含め、旅行会社でない可能性もあるOTAは、実際に紹介している事業者の信頼度としては、実店舗で営業する旅行会社よりとても低くなるのが現状です。(これがセブンシーズが現在OTAにプログラム掲載していない理由です)
もし、事故が起こった場合に「実店舗で営業する旅行会社」は当該旅行サービス提供機関(宿泊やマリンレジャーを提供する事業者)を選択するのが旅行者の安全確保の見地から明らかに危険であることが認識できたにもかかわらず、これを選定して、その危険が当該旅行者に発生した場合などに限り、ツアー中の事故について旅行会社が責任を負うべきという判例が出ています。
これらの判例は、以下サイトでわかりやすく解説されていました。
要は、「実店舗で営業する旅行会社」は「危険であることが明らかな事業者」を選定すると、事故が起こった際には責任を問われます。
なので「実店舗で営業する旅行会社」は、できる限り安全な事業者を手配しようと心がけます。
しかしながら、これはパッケージの旅行商品に関する事例なので、マリンレジャーの部分だけを手配したり、海外運営のサイトを含めそもそも旅行会社でない可能性もあるOTAにその責任が求められる可能性は低いと言えると思います。(段々、責任を問われるようになっていくと思われますが…)
なので、OTAのサイトに並んでいる事業者に「危険であることが明らかな事業者」も含まれる可能性が高いという事です。
実際、沖縄県水難事故の防止及び遊泳者等の安全の確保等に関する条例で事業停止の行政処分をされた事業者も、ほとんどのレジャーのOTAで、どうどうと掲載されています。
結果として、OTAを利用する際に、自分の目でしっかりと「危険であることが明らかな事業者」かどうかを見極めなければならないという事です。
OTAが悪いのではなく、OTAを使って事業者を選ぶ場合には使う側が自分の責任でしっかりお店を判断しなければならないのです。
沖縄県水難事故の防止及び遊泳者等の安全の確保等に関する条例は以下の記事でご確認ください。
事業者選定のポイント
では、自分の目でしっかりと「危険であることが明らかな事業者」かどうかを見極めなければならないという事ですが、具体的にどこらへんがポイントなのか???
まず、慎重になるべきお店は…
1,大きなお店は慎重に…
大きなお店ほど、急しのぎでスタッフを増員している、またはシーズンのみスタッフを雇うことが多く、スキル(質)が低いガイドさんが多い可能性が高くなります。
ただ勘違いしてほしくないのは、大きなお店さんのガイドが皆ダメと言っているわけではなく、安全管理などできないスキル(質)の低いガイドさんに当たる可能性が高くなるといったお話です。(中には現場はガイドとしては知識不足の新人ばかりなんてお店も…)
2.OTAの評価、OTAサイトの口コミは信じない方が良いと思います。
OTAが評価(おススメ)する事業者は、希望があればあっただけ予約を受ける事業所です。(そういった事業者はランキング上位にランクインする可能性が高いので…)
そうすると、慎重に選ぶべき大きなお店が増え、スキル(質)が低いガイドさんが多い可能性が高くなります。
また、OTAの口コミは口コミサイトなどと比べて、悪い評価の口コミを簡単に削除しやすかったり、お店によっては良い口コミを書く約束で割引するなど、要は高評価の口コミを買っているようなお店もあったりします。
なので、特にOTAの口コミが多いお店は、選ぶのはやめた方が良いかもしれません!
大きなお店の中でお店を選ぶなら、OTAの口コミが多くないお店が良いかも…
3.OTA自体をしっかり選んだ方が良いと思います。
OTAが評価(おススメ)する事業者…
でも、そのOTA自体信頼できるOTAですか?
しっかり、OTAの規模やコンセプトなど確認してみてください。(結構無責任なところあります!)
なので、特に地元密着などの地域限定の小さいOTAは、選ぶのはやめた方が良いかもしれません!
4.ライフジャケットを着ていない写真があったらアウトです…
しっかり、掲載されている写真を確認してください。
スノーケリングやSUP、カヤック(特にカヤックではクリアカヤックに多いですが…)でライフジャケットを着ていない写真があったらアウト!(1枚でもそんな写真があれば安全管理に問題があることが、とても多いです)
もちろんガイドも含めてライフジャケットを着ていない写真があったら慎重にではなく、選ぶのをやめましょう!
5.ルールを守れないお店やガイドさんが安全なことはあり得ません
ルールを守ることは安全の基本です。
乗り物運転前にお酒を飲まないとか、状況が悪いときは飛行機も船も運休になるとか、当たり前のルールがあって、守らなければ安全が確保できることはありません。
地域のルールなどもあって公開されていますので、ルールに沿った事業を行っているお店を選びましょう。(地域のルールの例は少し後で…)
そうすると、選ぶべきお店は
1.オーナー1名や夫婦などの2名のガイドという少人数で営業しているお店
(大きなお店を選ばないとならないときはランキング上位は避けるのがおススメ)
2.出来ればスタッフが変わらずに、10年以上営業しているお店
3.OTAで、口コミが異常に多くないお店
4.地域密着などの小さなOTAなどまでは掲載していないお店
5.スノーケリングやSUP、カヤックの写真で、ガイドも含めて100%ライフジャケットを着ているお店(OTAサイトや公式ホームページの写真をチェック)
6.地域のルールなどを含めて、ルールを守っているお店
地域のルールは以下で確認しましょう。(他にもありますが代表的なものを2つご紹介)
ちなみに、似たこと書いたサイトがないか探した所、ありました(笑)
そうすると、ギリギリに申し込むと大きなお店しか空いていないことになりますから、安全なマリンレジャーをするためには早めによく見て(可能な限りOTA以外もね)申し込んでおくことが大きなポイントになります。(セブンシーズは夏場は先の2カ月で空いているのは数日だけです…)
皆さんが、安全なマリンレジャーで、楽しい思い出と共に笑顔でお家まで帰ってもらえることを心から願っています。
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