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沖縄県水上安全条例 改正のポイント

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セブンシーズ チーフガイドのJUNです。

 

先日、沖縄県の水上安全条例が改正(2021年3月31日改正)されました。

 

 

 

沖縄県内でマリンレジャーを営む方向けの記事になりますが、沖縄県の水上安全条例のポイントなどを少し解説していきたいと思います。

 

(C) SevenSeasMiyakojima

 

水上安全条例

 

まずは、水上安全条例って何?というお話しから!

 

沖縄県には水難事故防止のために、沖縄県水難事故の防止及び遊泳者等の安全の確保等に関する条例(以下:水上安全条例)という条例があります。

 

これは、平成5年10月に作られた沖縄県条例です。

 

名前の通り、マリンレジャーでの水難事故が多かった沖縄県において、水難事故を減らすために作られました。

(マリンレジャーをする絶対数、分母が多いので割合的には多いとは言い切れませんが、もちろん事故は0の方が良いですよね)

 

では、条例って何?というと、それを理解するには法の仕組みを理解する必要があります。

 

実は法にも種類があって、以下の順で効力が強くなります。

憲法 > 法律 > 政令・施行令 > 省令・施行規則 > 告示 > 通知

 

この中で「法律」は立法府である国会で作られたもので、日本国憲法に次いで効力が強く、日本国憲法で読み取れない細かい内容なども定められています。

民法や刑法、刑事訴訟法、民事訴訟法、税法などが法律になります。

 

そして、法律や政令、施行令、省令をまとめて法令と呼んでいます。(法令を遵守し!・・・の法令ですね)

 

では、そこに含まれない条例って何なのというと、国でいう法律に当たる部分が、地方(県や市)では条例となって、地方の議会で作られます。

地方は、法律や政令とは別に独自の法を制定できて、一般的には法令の範囲内の効力を持つとされていますが、場合によっては法令の規定を超えた規制も可能と言われています。

なので、地方で定められる法の中では、法令の範囲内で(場合によっては法令以上に)、最も効力が強いものになります。

 

「〇〇県迷惑防止条例で逮捕」なんてニュースをたまに聞きますよね?

「県の条例でしょ!守らなくたって・・・」と思っていたら大間違い! 民法や刑法、刑事訴訟法、民事訴訟法、税法なんかとならぶ、立派な法なんです!!!

 

 

水上安全条例の内容

 

条例を含む法って、難しい言葉で書かれてますよね!

安倍政権時代に、よくニュースで「法の解釈の変更」という言葉を耳にしたと思いますが、難しい言葉で書かれた法を、読み取った解釈がとっても大切になります。

なので、改正のポイント、どのように解釈をするのかを見ていきましょう。

 

 

スノーケリング業の新設

 

水上安全条例では、海水浴場、プレジャーボート提供業、マリーナ業、潜水業を営もうとする場合は、その旨を公安委員会に届け出なければならないと定められていましたが、新たにスノーケリング業が追加されました。

 

ここで、スノーケリング業の前に「これ何?」ってなるのがプレジャーボート提供業です。(海水浴場、マリーナ業、潜水業はわかると思いますので…)

これに当てはまるのは「スポ-ツ又はレクリエーションの用に供する船舶(いわゆる一般的な動力船のことですね)、サーフボードセールボードその他これらに類するものとして公安委員会規則で定める」とあり、その他公安委員会規則で定めるものは、沖縄県水難事故の防止及び遊泳者等の安全の確保等に関する条例施行規則に明記されています。(2021年3月31日改正)

カイトボード
カヌー
カヤック
水上オートバイ
水中翼船
スタンドアップパドルボード
ペダルボート
ボディボード
モーターボート
ヨット
⑾ 前各号に掲げるもののほか、これらと同様の構造又は形状を有する船舶又は水上運動用具

もちろん、ジェット(条例上では水上オートバイ)でけん引する、バナナボートチューブビスケットや、フライボードなども含まれますし、(省令や政令は行政で作られるもので、今回の条例施行規則は公安委員会で改正できますので)新しいアクティビティーは随時改正追加されていくでしょう。

 

 

 

そして、今回のスノーケリング業の新設です。

 

今まで、動力船を使ってのスノーケリングツアーはプレジャーボート提供業に含まれていましたが、これが別のスノーケリング業となります。

ビーチからのスノーケリングツアーはプレジャーボート提供業に含まれていませんでしたので、届出不要でしたが、これからは届け出が必要となります。

 

 

今回必要な届出業者の対応は・・・

プレジャーボート提供業の届出で動力船を使ってスノーケリングツアーを実施している事業者 → スノーケリング業の届出が必要

潜水業の届出で動力船を使ってダイビングだけを実施している事業者 → そのまま潜水業のみでOK

潜水業の届出で動力船を使ってダイビングとスノーケリングツアーも実施している事業者 → スノーケリング業の届出が必要(潜水業はそのまま

 

 

もう一つのポイントは、必要な資格です。

プレジャーボート提供業では「水難救助を行うための水難救助員を置くこと。」とあり、沖縄県水難事故の防止及び遊泳者等の安全の確保等に関する条例施行規則に明記されている水難救助員が現場にいれば良いと読み取れます(もちろん1人いれば良いかどうかはカヤックやSUPでグループがわかれるケースなど、業態によって常識の範囲が変わりますけどね)が、スノーケリング業では「潜水者とあるのはスノーケリング者と、ガイドダイバーとあるのはスノーケリングガイドと読み替えるものとする。」と明記されているので、スノーケリング業のガイドは、潜水業のガイドと同じスタンスで考えて資格整備が必要になると読み取れます。

なので、今後スノーケリング業でガイドをする場合には、潜水業でのダイビングガイド同様に、スノーケリングガイドがしなければならないということになります。

また「事業所ごとに、自ら同伴をし、並びにスノーケリング者(スノーケリング業者の案内を受け、スノーケリングをする者をいう。)を案内し、及び指導する者(以下「スノーケリングガイド」という。)を置くこと。」とありますから、やはり潜水業でのダイビングガイド同様に基本直接ガイドしなければならないと読み取れると思います。

 

 

そして、もう一つ重要な点

スノーケリング業には、どんなものが含まれるのかということ。

県警は「スノーケルを使用する潜水業以外の全ての業種が該当します。(スノーケリングスキンダイビングフリーダイビングなど)」といっています。(ここでは県警が言っていることが解釈になる訳ですね)

スノーケリングの器材をレンタルする場合にも、ゲストがご自身で持参して使用した場合にも、どちらもスノーケリング業に当てはまると思われるわけです。

もちろん、SUPからマスクスノーケルで海中を覗くとか、カヤックやSUPからスノーケリングするなんてのも含まれるわけです。

 

ここで、更にしっかり読み取らないといけない解釈があります!

沖縄県警のホームページの「届出に必要な書類一覧」や「届出様式記載例」を見ると、海域レジャー事業届出書の備考欄に「ライフジャケットを着用させ、スノーケリングを行います。」と記載してください。と明記されているますので、事業としてスノーケルを使わせる場合ライフジャケットを着用させなければならない。ということです。

 

 

 

そう、ライフジャケットを着せずにツアーをおこなうと、条例違反に該当する場合があるということです。

なので、「スキンダイビング、フリーダイビング」もスノーケリング業に含まれるとなっているものの、実質的には沖縄県で「スキンダイビング、フリーダイビング」の事業は届出ができないということになるかもしれません。(今後改正される可能性はあります)

 

 

欠格事由と罰則規定

 

欠格事由の新設と、名義貸しの禁止、行政処分が明記されました。

 

 

それにより、誓約書や身分証明書の提出が定められましたので、欠格事由に当てはまる人は事業ができなくなりました。

沖縄のマリンレジャーにそぐわない事業者さんもいたようですので、これはとっても良いことですね。

 

しかし、欠格事由に当てはまらなくても、条例の規定に違反した場合(特に必要があると認めた場合)、公安委員会が「事業の停止」を命ずる場合があります。( 最長6か月、違反者には罰則あり)

欠格事由の該当者が事業を営んでいることが判明した場合、公安委員会が「事業の廃止」等を命ずることもできます。

民法や刑法、刑事訴訟法、民事訴訟法、税法なんかとならぶ、立派な法、県条例ですが、今までは罰則規定がありませんでした。

それに罰則規定があることが明記されたということです。

 

要は、条例をしっかり守らないと処罰される可能性がありますよ!ということになります。

でも、考えてください!

条例があるということは、守るべき事項がはっきりしているということです。

守るべき事項を、しっかり守って、もっともっと宮古島の観光業を盛り上げていきましょう!!!

 

 

申請や資格整備

 

5月に入って、県警各署で正式にスノーケリング業の届出申請受付が開始されています。

届出猶予期間は2021年11月1日まです。

必要書類や書き方などは沖縄県警ホームページ(下の記事)で確認いただけます。

 

 

・代表者は本籍地の役所で発行される身分証明書が必要となりますので、本籍が沖縄県でない方が代表者の場合は、事前に本籍地の役所に身分証明書の入手方法についてご確認ください。

 

・認めれらる資格は、OMSBのスノーケリングインストラクター以上、PADIのダイブマスター以上、NAUIのダイブマスター以上のみになるのではないかと話がありましたが、ガイドダイバーに認められる資格は該当するという話です。都度県警に問い合わせてください。
またOMSBでは、スノーケリングインストラクター以上ではなくスノーケリングガイドという資格を新設し、それ以上の資格となりました。

 

そして、PADIスノールガイドもスノーケリング業の申請に必要な資格に認められました。(セブンシーズでも実施可能です)

 しかしPADIスノーケルガイドは、フリッパースイム800m15分以内と現役のガイドでないと相当ハードルが高い泳力試験があります。(OMSB水難救助員講習では400m9分以内なので、水難救助員講習泳力テストの時のペースで泳いでパスできるのは過去のセブンシーズ3桁の受講者の中で2~3名程かと・・・)
 何か起こった際にはこの認定講習までさかのぼって調査されるケースが多く、正式に泳力試験をパスしてなく認定されているとなると、そのPADIスノーケルガイドも、PADIスノーケルガイドを認定したインストラクターも、問題になる可能性があることを知っておいてください。
 (私たちインストラクタートレーナー資格を有する者は、その責任を忘れずに指導者養成をおこなうよう心がけています)

 

 

OMSBスノーケリングガイド講習に関しては、下の記事か、OMSBスノーケリングガイド講習詳細からご確認ください。

PADIスノーケルガイド講習に関しても、下の記事からご確認ください。

※OMSBスノーケリングガイドとPADIスノーケルガイドの違いは各講習詳細ページの「よくある質問」でご覧いただけます。

※各講習の参加資格は各講習詳細ページの「参加資格」でご確認ください。

 

 

OMSBスノーケリングガイド

OMSBスノーケリングガイド

「OMSBスノーケリングガイド」はスノーケリング事業を行うに際してガイドを実施するのに必要な知識・技能があることを認定する資格です。
沖縄県の条例でスノーケリング業・プレジャーボート提供業などを申請する際に必要となる資格です。

この記事を書いた人

JUN(チーフガイド)

学生時代は水泳・カヤックシングルの選手として活躍、その後海外・国内でダイビングインストラクターとして経験を重ねる。ダイビングのインストラクション・ガイド業以外にもダイビング・スノーケリング器材販売専門店・ダイビングとエコツアー専門旅行会社・海辺の環境教育指導・シーカヤックガイド等の経験を持つ水専門のエキスパート。PADIコースディレクター取得後は、ダイビングのみならず海から海辺全域に関して、後進育成を中心に活躍。[資格等]

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