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宮古島ってどんな島?(パーントゥ)

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コーディネーターのKOKOです。

宮古島では、地域によって様々な祭祀が行われています。前回は、池間民族最大の祭祀「ミャークヅツ」について記事を書きました。

 

今回は、宮古島のお祭りの中でも全国区で一番有名だと思われる、「パーントゥ」についてお話しましょう。

 

(C) SevenSeasMiyakojima

 

無形文化遺産に登録!

「宮古島のパーントゥ」は、1993年、国の重要無形民俗文化財に指定されていました。

そして、地域の横のつながりを強め、子どもたちの地域教育という大事な役割があるということで、2018年には、「来訪神:仮面・仮装の神々」としてユネスコの無形文化遺産に登録されました。

以前に登録されていた鹿児島県のの「トシドン」に、東北から沖縄まで8県10の行事が加わるかたちです。

 

登録された行事の中でも全国で有名なのは、秋田の「ナマハゲ」ですね。

観光客の方に宮古島のパーントゥについて説明するとき、「ナマハゲ」と似ている、というと理解してもらえることもあります。

 

でも、この無形文化遺産に登録されたおかげで、日本各地に似たような祭事があるのだと知りました。

 

 

来方神とは?

信仰の仕方には、私たちが神社などにお参りに行く、という場合と、神さまが行事の時だけ集落にやってくる、という場合があります。

来訪神とは後者で、集落の祭りの時に神さまがやってくる、という信仰なのです。

 

来訪神行事に共通する点は、地域の若者や子ども、厄年の人などが仮面をかぶったり仮装をして地域の神々に扮し、集落の家々を訪れて、勉強しない子どもを叱ったり、持参した縁起物を配って、帰りにその家の人から餅などをもらったりします。

 

日本だけでなく、世界各地にも様々な来訪神の行事があります。

ヨーロッパの「クランプス(Krampus)の神」も、親のいう事を聞かない子どもにお仕置きをするとか、日本の行事とすごく似ています。

 

クリスマスのサンタクロースもその一つという考え方もあります。

「ブラックサンタクロース」というのを聞いた人もいるでしょう。

悪い子を見つけてはやってきて、お仕置きやイヤなプレゼントをしてまわる悪魔みたいな存在だと伝えられています。
でも、本当は、ブラックサンタは悪人ではなくて、子どものことを思ってお仕置きしているのかな、とも思いますね。

 

 

島尻のパーントゥ

数百年前に、島尻地区にある海岸にクバ(標準和名はビロウ)という木の葉に包まれた黒と赤の仮面が漂着しました。
村の人々はこれを来訪神として敬い、ある男が仮面をかぶって集落内を駆け回ったことが起源と伝えられています。

 

島尻では、毎年、3回サトゥプナハ(里願い)が行われ、その3回目にパーントゥが現れるので、3回目のサトゥプナハはパーントゥ・プナハと呼ばれます。

パーントゥは親(ウヤ)、中(ナカ)、子(フファ)パーントゥの3体の来訪神があって、島尻地区で3人の男性を選び、その3人がパーントゥに扮します。
夕刻、仮面を着け、シイノキカズラをまとい、「ンマリガー」(産まれ泉)と呼ばれる井戸の底に溜まった泥を全身に塗って集落をまわって厄払いします。

新築の家に上がり込んだり、車に泥を塗ったり、集落を歩く人に泥を塗りつけるのです。

泥を塗られると厄払いされて、その年は無病息災、といわれますが、その泥はとても匂いがきついです。

 

以前、KOKOの車の中にパーントゥが入ってしまったことがあり、座席が大変なにおいになったこともあります。

 

 

(C) SevenSeasMiyakojima

 

上野 野原のパーントゥ

上野にある野原地区のパーントゥは、年に1回、旧暦12月最後の丑(うし)の日に行われます。

地元ではサティパロウ、サティパライ(さとばらい)ともいいます。

 

パーントゥの仮面をつけてた少年を先頭に、他の少年や婦人たちが行列し、「ニーマガー」と呼ばれる井戸から集落内を行進するというもの。
婦人たちは、クロツグやセンニンソウで作った草かんむりを頭にかぶり、悪霊払いの意味があるヤブニッケイの枝をもって歩きます。

 

島尻のパーントゥに比べると静かで、大人の男性は参加しません。

 

 

来訪神行事のこれから

無形文化遺産に登録されたことで、これまで人手不足などで休んでいた行事が復活した地域などもあるようですね。

 

ただ、お宅を訪問するということで、プライバシー保護の問題や、家が汚れるから嫌だ、といって家に入れない人も多くなっているようです。

 

宮古島のパーントゥでも、観光客がわざわざ見に行ったのにも関わらず、泥を塗られたと言って怒ったり、パーントゥに扮した人に危害を加えたりしたことがあったみたいです。

集落では、パーントゥを存続させるか議論されたようですが、地域の大事な行事なので続けようとなり、日にちをあまり前に決めないとか、公にしないで行うようになりました。

 

日にちが近くになって集落の自治会とかに問い合わせたら日にちを教えてくれますが、そこまでする人は、泥を塗られても怒ったりはしませんよね。

 

次回は地域で行われているほかの祭祀についてもご紹介

次の機会には、宮古のクイチャーについてもご紹介しますね。

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この記事を書いた人

KOKO(コーディネーター)

天皇陛下の日本山岳会入会にも尽力した同会元会長の父の影響で、学生時代から登山やスキーを行う。外資系会社を経て、通訳を兼ねながら生物学者・故ジャックモイヤー氏と共に海辺の環境教育を行ったり、旅行会社にてエコツアー企画を担当し日本にインド洋のクリスマス島を紹介するなどエコツアー・環境教育の現場の最先端を走り続ける第一線ネイチャーガイド。現在は宮古諸島において、エコツーリズムの普及や海辺の環境保全に尽力している。 [資格等]

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