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最近の台風の傾向

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気象予報士でセブンシーズ コーディネーターのKOKOです。

 

今年の夏は、台風がぜんぜん来なくて8月半ばまでは発生する気配がないね~なんて言っていたのですが、9月が見えてきたころから、台風がこれでもか、という感じで発生し、「こんなに来なくてもいいのにね~」なんて言っている沖縄の人、多いと思います。

 

今日は、台風の基本的なことや最近の台風の傾向について書いてみます。

 

 

台風はどうやって生まれる?

そもそも台風とは、北西太平洋の熱帯低気圧のうち、最大風速が毎秒17メートル以上のものです。

 

つまり、熱帯低気圧と台風は風の強さが違うだけです。

 

熱帯低気圧が生まれる場所は、海面水温が高いエリアで、大規模な風の流れによって「うず」があるところです。

 

暖かい海から水蒸気が供給され雲になり、周囲の空気を暖めて上昇すると、その空いた中心部にうずを巻きながら外から空気が補充されて、熱帯低気圧が生まれます。

 

海からもらう水蒸気がエネルギーとなり、熱帯的圧は発達して台風となるのです。

 

海面水温が高いと水蒸気の量が増えるので、台風がより強くなるんですね。

 

海面から数十メートルくらいの深さまでは上下によく混ざっている層がありますが、今年はそのあたりの水温が非常に高く、シュノーケリングをしていてもお湯みたいなところもあったので、台風はどんどん勢力を増していったのです。

 

(C) SevenSeasMiyakojima

 

台風が沖縄に必要なわけ

海面水温が高い状況が続くと、宮古島の観光の目玉である、「サンゴ」が弱って死んでしまうことがあります。

 

サンゴは亜熱帯から熱帯地方の海にすんでいるので、水温が高くてよいのでは、と思われがちですが、高過ぎはだめなんですね。

 

その理由は今日は省略して、また次の機会に・・・

 

今年は台風が来る前には、サンゴはかなり弱っていて、みんな、「台風来い~」と思っていました。

 

なぜでしょう?

 

台風が通過するときには、強い風によって、海洋の普段はあまり混ざらない部分も激しく混ぜられるので、海面水温が下がるのです。

 

実際、今年の台風11号、12号によって、宮古島周辺の海面水温は3,4度は下がっているようです。

 

おかげで、弱っていたサンゴも元気を取り戻しているかもしれません。

 

(C) SevenSeasMiyakojima

 

台風が弱まるわけ

台風によって海面水温が下がると、台風のエネルギーとなる水蒸気の量が減るので、結果、台風はだんだん弱まっていきます。

 

また、台風によって高い波ができますが、波が高いということは摩擦力も強くなり、結果、台風の力は弱まるのです。

 

台風自身の作用によって、台風の力は弱まっていくのです。

 

ほかにも、台風が九州や本州に上陸すると、台風の下は、水蒸気を供給する海ではなく、摩擦が大きい陸地になるので、これもまた台風の力が弱まる原因になりますね。

 

ちなみに、台風は自分では動けないので、上空のジェット気流や、高気圧の風の流れなどに乗りながら移動します。

 

今年の台風11号は、なかなか台風を動かしてくれるものがなくて、かなり長い間沖縄方面をウロウロしていました。

 

(C) SevenSeasMiyakojima

 

最近の台風の傾向、そして今後は・・・

台風といえば、沖縄、奄美など亜熱帯地方のもの、という感じでしたが、最近は九州や本州に上陸する台風も増えてきましたね。

 

これは、台風の発生場所に関連しているかと思います。

 

台風の多くは、これまで、沖縄のはるか南、赤道近くで発生し、北上したのち、本州を覆う太平洋高気圧のへりに沿って沖縄方面を通り、ジェット気流にあたると、そのスピードにのって北東に走り去っていくコースでした。

 

ところが、最近は地球温暖化に伴い、海面水温が高いエリアが北に広がってきたこともあるのか、台風発生エリアが、沖縄の近くだったり、小笠原付近だったりしています。

 

夏場、太平洋高気圧が強く張り出していたりすると、そこから沖縄付近を通って日本列島に向かうこともあるでしょうし、太平洋高気圧が弱まっていると、沖縄を通らないで、九州や本州を直撃するコースになることもあります。

 

宮古島は、かつて「台風銀座」と呼ばれるほど台風の通り道だったので、家は台風に強い造になっていて、電力会社の停電への対応もすばやく、災害復興の動きも慣れています。

 

一方、台風に馴染みの薄かった本州に強い台風が来ると、大きな打撃を受け、被害も大きくなりますね。

 

本州でも、台風に対する備えをこれまでと同じでは対応できなくなりまもしれませんね。

 

スーパーコンピューターでシミュレーションした結果は、年間に発生する台風の個数は減り、弱い台風は発生しにくくなるとなっています。

 

反面、より強く発達し、災害警戒が必要な台風の数は増えるという予想になっているのです。

 

「選りすぐりの台風」とでもいうのでしょうか?

 

今年の台風11号、12号、14号ともに、その「選りすぐり」に当てはまるのかもしれませんね。

 

救いは、今後、台風の研究がもっと進み、予報がより正確になるため、ある程度「備え」ができることだと思います。

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この記事を書いた人

KOKO(コーディネーター)

天皇陛下の日本山岳会入会にも尽力した同会元会長の父の影響で、学生時代から登山やスキーを行う。外資系会社を経て、通訳を兼ねながら生物学者・故ジャックモイヤー氏と共に海辺の環境教育を行ったり、旅行会社にてエコツアー企画を担当し日本にインド洋のクリスマス島を紹介するなどエコツアー・環境教育の現場の最先端を走り続ける第一線ネイチャーガイド。現在は宮古諸島において、エコツーリズムの普及や海辺の環境保全に尽力している。 [資格等]

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